東京高等裁判所 昭和33年(ラ)658号 決定
一、記録に綴られた登記簿謄本によれば、本件各不動産に対する本件競売申立の登記がなされたのは、昭和三〇年一二月二八日であるのに対し、抗告人中村和三郎の賃借権設定登記は同三一年七月三〇日、抗告人田島由規子の所有権移転請求権保全仮登記は同三一年八月二四日になされたことが明らかであつて、このように競売申立登記後に賃借権設定登記または所有権移転請求権保全の仮登記をした者は、いずれも競売法第二七条第二項にいう利害関係人には当らないと解すべきであるから、たとえ所論のように右抗告人らに対し競売期日の通知がなされなかつたとしても、原決定を不適法とはいえない。
二、競売法第二九条第一項、民事訴訟法第六五八条第三号により競売期日の公告に記載することを要する賃貸借は、競売申立抵当権者に対抗できるものに限られ、対抗できない賃貸借は、たとえその登記があつても、これを右公告に記載する必要はないものと解すべきである。ところが、記録に綴られた登記簿謄本によれば、本件各不動産について抗告人ら主張のような各賃貸借の登記のあることが認められるが、右賃貸借は、いずれも民法第六〇二条の期間を超え、かつ本件競売申立人の抵当権の登記後にその登記がなされたものであることが明らかであり、また、そのうちの建物については、仮に所論のように賃借人がすでに引渡を受けたとしても、その引渡を受けた日は、抗告人らの主張自体によつても、右抵当権の登記後であるから、右賃貸借はいずれも競売申立抵当権者に対抗することができず、したがつて、これを本件競売期日の公告に記載しなかつたからといつて、原決定を不適法とすることはできない。
(奥田 牧野 青山)